hapicky’s snapshots

その時々の考えの断片

Regional Scrum Gathering Tokyo 2021に参加して思ったこと

1月6〜8日で開催された Regional Scrum Gathering Tokyo 2021 に参加しました。 色々な講演を聴きながら自分が思ったことを書いてみます。

人のお話を聴くと色々なことが頭に浮かびます。多分それは自分が普段の仕事で感じている問題意識だったり、価値観なんだと思います。

尚ここに書くことは「講演の内容と趣旨が違う、あまり関連がない」ことも含まれます。ご了解ください。

思ったこと

1. 自律した個人としてチームに貢献する、という順番で臨みたい

椎葉さんが「場の文化」と「個の文化」について話しているのを聞いて。

#RSGT2021 Rethink Scrum from a Japanese cultural perspective - Speaker Deck

スクラムといえばチーム開発」というイメージ、あると思います。チームって良いものだと思います。

ですが、リーダーシップや意思決定、物事を成し遂げる能力などがうまく発揮されず、チームとして機能していない状態というのも、よくあるように思います。

去年 スクラムガイド がアップデートされました。その中で、

といった変更があったのですが、これもリーダーシップや組織運営といった課題が背景にあったのかな?なんて個人的に思いました。

うん。

場と個人、チームと個人というものがあると思うのですが、基本はまず個人から出発した方がいいと思うんですよね。 個人として何か成し遂げたいこととか、動機があって、でも自分だけでは実現できないから他の人とチームを組んで、共通の目標に向かってやっていく。動機とか意志とか能力といったものは個人個人が持っているものであって、メンバーが個人として振る舞った集まりがチームである、という順番。

でも、いったん「チーム」というものが形作られると「個人」への意識が薄れてしまって、ただの集団になって、だんだん機能しなくなっていく。個人の存在が、場に埋没してしまうというか。

ちゃんと機能するチームでありたいと思うし、自分自身がしっかりとした「個人」として仕事を成し遂げていかなければ、と思います。

(椎葉さんのお話は「場イコール悪」という話ではなかったと思います。繰り返しになりますが、話を聴きながら私が思ったことを書いてます。)

2. 暗黙の期待は禁物(期待や要求はちゃんと伝える)

Zuziさんの基調講演「Great ScrumMaster」を聴きながら。

(参考: Selected Talks Overview

講演を聴きながら他の参加者の方とチャットしていて、「スクラムマスターに必要なスキルって子育てスキルじゃん」といった発言をみかけました。

そう、子育て。

ここでの「子育て」の意味するところって、

  • 相手の認識や能力に合わせて教える、ガイドやサポートをする
  • 相手が理解する、能力を身につけるまで「待つ」
  • うまくいかなければ別のやり方を色々と試す
  • できなくても批判しない
  • できたら一緒に喜ぶ

といった姿勢だと思いました。自分も子どもがいるので分かるつもりです。ですが、

大人に対しては、こういった姿勢になれていない自分がいます。

なんででしょう?

  • 大人だからできるでしょ
  • それが仕事でしょ
  • やって/できて当たり前でしょ

そんな風に、相手に対して「当たり前でしょ」という暗黙の期待をしている気がします。

この暗黙の期待というやつは曲者です。

  • 自分から他人への暗黙の期待が満たされないと、相手に対してイライラしてしまいます
  • 他人から暗黙の期待をかけられていると思うと、疑心暗鬼になって行動しづらくなります

満たされていない期待があると思うなら、ちゃんと伝えた方がいいです。 (その逆も然りで、他人の顔色をあまり伺いすぎない方がいいです。反応を知りたければフィードバックを求めるといいでしょう。)

もちろん、なんでも伝えたらいい、というわけではありませんが。 現状と期待のギャップが大きいと、相手が打ちのめされてしまうこともあるので。 相手の認識や感情などを踏まえた上で、すり合わせたいですね。

これは余談ですが、「(相手の認識や感情とか)そんな悠長なこと言ってられない」という状況もあると思います。その時はスクラムマスター的なアプローチが適当ではないのかもしれません。エラスティックリーダーシップ に出てくる「サバイバルモード」が必要なのかも。

3. 「チーム」で仕事したい

平鍋さんや野中先生のお話を聴きながら。特にSECIモデルの図を見ながら。

SECIモデル

(画像引用元: https://globis.jp/article/2389

形式知暗黙知って何?という方のために簡単な説明を引用しておきます。

形式知とは、文章や計算式、図表などで説明できる知識のこと。大きな特徴は、「客観的に捉えられる知識」「言葉や数式などの論理的構造で説明できる知識」で、別名、明示的知識とも呼ばれます。

形式知と反対の知識は、経験や勘といった言語化が難しい主観的な知識である暗黙知です。

形式知とは? 暗黙知との違い、ナレッジマネジメントの実践方法と注意点について - カオナビ人事用語集 より

私はいまの仕事で、ある顧客向けのソフトウェア開発チームに所属していますが、複数のプロジェクトが同時進行していて、そのうちの1つを私一人で担当しています。

一人プロジェクトだと、左下の「内面化(形式知暗黙知)」の機会に限られてしまうんですよね。

私は左上の「共同化(暗黙知暗黙知)」のプロセスも好きです。ペアプロやモブプロとか。 あと、やっぱり形式知暗黙知の相互変換というか、スパイラルが必要だと思うんですよね。形式知だけじゃなくて、それを人間が運んだり活かしたりするのが必要で、それこそ人間の仕事であり、面白いところだよな、と。今のプロジェクトが終わったらチームで仕事しよう。

(隣のプロジェクトの人に情報共有とかはしていますが、そこまで深い共同化プロセスにはなっていないように思うので。形式知は渡しているけど、相手の暗黙知になるまで見届けていない、ような状態。)

おわり

今回のScrum Gatheringはオフラインとオンラインのハイブリッド開催でした。 私は当初会場に行くつもりだったのですが、リモート参加に切り替え。

Zoomで講演を聴きながらDiscordでチャットするという形だったのですが、これがとても良かったです。発表者のお話だけでなく、他の参加者とのやり取りからも気づきを得ることができました。(これが知識創造か!)

運営スタッフの方、講演者の方、スポンサーの方、全ての参加者の方、ありがとうございました。

エネルギーをもらったから、また頑張ろう。